プラトンの「ソクラテスの弁明」を読む
【弟子】の投稿です。
4月27日に「西洋哲学者は何を考えてきたのか?」というテーマで哲学カフェを行います。
西洋哲学の原点といえばプラトンの思想であり、プラトンは「対話編」と呼ばれる形式のソクラテスを語り手とした著作を多く残しています。
彼の師であるソクラテスはポリスの信ずる神々をないがしろに、若者を堕落させているという事で告訴され、死刑判決を受けた裁判が舞台の作品です。臨席していたプラトンが、ソクラテスが裁判員たちの前で行った弁明をもとに創作されたのが、「ソクラテスの弁明」です。
正義や徳をめぐって対話を粘り強くかわすことで真理を追求していく哲学者ソクラテスのゆるぎない態度が生き生きと描かれています。アテナイの裁判では当日くじ引きで選ばれた501人の市民が裁判員となり、投票で判決を決定します。告発者と被告人の双方が自分の肉声で直接裁判員に演説を行い、裁判員はそれをもとに判決を決めます。
慣れない場で無実の罪を払わねばならない不利な立場にあるソクラテスは、それでもポリス・アテナイのあるべき姿を思い、正義や徳を追い求める哲学者(知を愛し求める者)としての姿勢を崩しませんでした。
死刑判決が下った時、ソクラテスは70歳、プラトンは28歳。若きプラトンの目に師ソクラテスの弁明する姿は非常に大きな衝撃とともに写ったのではないかと【弟子】は想像しています。ソクラテスという人物の生き方を通して、知を愛し求めるという「哲学」の原点が、丁寧に推敲された(と思われる)文章からひしひしと伝わってきます。
そしてプラトン自身がソクラテスから受け継いだ哲学者としてのあり方が、普遍性をもって今日まで残っていることを、読者は実感できるのではないでしょうか。
光文社 (2012-09-12)
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